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第141回「大きな黒と小さな青の大きな交流」 藤島 大

  スコアは9−10。オールブラックスを相手に前半36分まで1点差のゲームをできるチームが世の中にいくつあるというのか。東京の調布市にまれなる例を見た。青のジャージィ。フランスでもサモアでもイタリアでもない。ナミビアだ。

  タックル。ラン。まったく迷いがない。シャープなアタックは何度か黒の壁を突き破った。背番号7、勤めを休職して日本へやってきた銀行員、トマソー・フォーブスがぶちかますと、確かに世界チャンピオンの数人が後退した。東京スタジアムを埋めた観客から「ナミビア」の叫び声が響く。集団的に弱い側を応援しようというのではなく、もっと自然な叫びに聞こえた。なにか、ひいきの学校を応援するような感じの。

  結局、前半は15点差。オールブラックスのスティーブ・ハンセンHC(ヘッドコーチ)は試合後の会見で前半の苦戦について「正しい態度で臨めていなかった」と語った。ハーフタイム。ねじは締められた。後半は球を奪えば一気にゲイン、47得点をたたみかける。終わってみれば大差はついた。

  ただしラグビーというスポーツはスコアがすべてを物語らない。農業や歯科医などアマチュアの選手を含むナミビアは、最後の最後まで闘争心を絶やさず、きらめく瞬間を「48350」もの観衆に披露できた。黒いジャージィをまとっても不思議のない背番号5、チウイ・ウアニヴィを軸にFWはブレイクダウンやラインアウトで健闘を続ける。そして小さな、小さなハーフ団の確かなスキルと非凡な感覚よ。身長164p(大会公式データに175pとあるが、そばで見ると明らかにもっと小柄)の9番、3PGを決めたダミアン・スティーブンスはいつでもいつまでも素早く球をさばき、もっと小柄に映る10番、ヘラリウス・キスティングはどんなに狭いスペースでもそこに入り込めた。

  公式記録の「ラインブレイク」の数字は「8」(オールブラックスは『13』)。これは同じ大会で同じ相手とぶつかった南アフリカの「5」よりも多い。スタジアムは、一方的な得点差にも熱をなくさなかった。

  24歳のスティーブンスは試合後、オールブラックスで同じポジションのアーロン・スミスと会話している。「彼らのロッカー室でジャージィを交換しました。アーロンは私のプレーに驚いてくれた」。25歳のキスティングも同様にジョーディー・バレットと交流。こう聞かれたそうだ。「いま、どこでプレーしているの?」。一目置かれたということだ。ちなみに答えはルーマニアのCSMバイア・マレというクラブである。

  取材通路でスティーブンスに質問した。あなたはプロ、それともセミプロ? 後者だった。南アフリカ・シャークスのスーパーラグビーのひとつ下のチームにいるそうだ。さらにたずねる。ナミビアにはフルタイムの職業を持っているアマチュア選手もいますよね。彼らからインスピレーションを与えられますか?

  「尊敬しています。仕事以外の時間を厳しい練習に費やす。エネルギーと集中力が必要です。(遠隔地から練習に通うために)家族との時間も犠牲にしなくてはならない。今回、選ばれなかった選手もいます。同様に尊敬しています」

  オールブラックスとナミビアはワールドカップの場でしか対戦しない。プロの中のプロとそうではない者たちの交流。オールブラックスの「すごく謙虚な」(キスティング)勇士たちは大勝を遂げ、なお果敢で優秀な敗者に敬意を抱いた。アマチュア時代から連綿と培われたラグビーの価値だ。一例でTJペレナラは「ナミビアは本当によいプレーをした。ボールを手に持ち、鋭く、速い仕掛けをした。ディフェンスもハードだ」。うわべの言葉ではないと試合そのものが証明していた。

■筆者「藤島大」の略歴■スポーツライター。1961年、東京生まれ。都立秋川高校、早稲田大学でラグビー部に所属。曼荼羅クラブでもプレー。ポジションはFB。都立国立高校、早稲田大学でコーチも務めた。スポーツニッポン新聞社を経て、92年に独立。第1回からラグビーのW杯をすべて取材。著書に『ラグビー特別便』(スキージャーナル)、『ラグビーの世紀』(洋泉社)、『知と熱』『熱狂のアルカディア』(文藝春秋)、『スポーツ発熱地図』(ポプラ社)、『ラグビー大魂』(ベースボール・マガジン)、『キャンパスの匂い』(論創社)など。東京新聞(中日新聞)火曜夕刊にコラム連載中。
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